1981年、田名網は病院のベッドの上にいました。
多忙すぎる生活で肺に水が溜まり、胸が苦しく、生死の境をさまよう日々。
高熱にうなされるなか、窓の外に見える松の木がグニャグニャに歪み、サルバドール・ダリの絵や、幼い頃の記憶のイメージが現れては消える——。
これは夢か、現実か。
4カ月に及ぶ入院生活の中で田名網は、目の前に浮かぶビジョンをノートに描きはじめます。